2015/5/29の社会的インパクト投資シンポジウムに行ってきました。
いろいろimputがあったので、備忘のためにもメモ。
◆「社会的インパクト投資」に興味を持った理由
Social goodなことに携わる組織や人にとって、資金面の課題は大きい。
せっかくいいことをしているはずなのに、結局報酬が適切に得られないことで疲弊してしまう。
Social goodかつ、ビジネス的にも成り立つ(大儲けでなくても、平均的なの水準の報酬が得られる)ようにできないか?というのが自分自身の近年の課題。
その中で、「ソーシャルインパクトボンド」に代表される「社会的にいい事に資金をまわそう」という世界的な動きがあることを知り、深く知りたいと思った次第。
◆実際行ってみて・・・
いやー、そんな甘くなかったっす。
企業として事業でしっかり利益を出しつつ、Social goodを実現できる企業しか残っていかないんだという結論。
いくらイイことしてても、ファイナンス面で実績がないと続かないと。(byコーエンさん←社会的インパクト投資の第一人者)
やっぱりそうかー。
1日話を聞いた大きなポイントのメモ・・・
・19世紀は財務面という1軸で、20世紀では財務+リスク管理という2軸で企業活動を測っていた。
21世紀はそれに加えて「social goods」という非財務な3本目の軸が加わり、3次元で企業活動が評価されるようになる。
エコノミックリターンだけでなく、ソーシャルリターンまで考えた事業が必要になる。
・「社会的投資」と「寄付」の違いは、説明責任の有無を含めた”いい緊張感があるか”。
そういう意味では、助成金なんかもホントは「投資」の形で数年後に返還する形の方がいいんだろうなーとも思う。管理大変だけど。
・イギリスから始まったこの動き、アメリカなど各国に広がりを見せている。
アメリカではベネフィットコーポレーション (=Social goodな事業をしている企業)のIPO事例もあるほど。
しかし、各国の風土や文化に即したカスタマイズが必要。特に日本のような寄付文化のない国では、それに合わせた展開方法が必要になる。グローカルな感じ?
・しかし、いずれの事例もSocial goodとファイナンス、どちらが重要かといえば「ファイナンス」。経済的なパフォーマンスを得られないと、次の支援が受けられない=続かない。
・ファイナンスで測定できない指標(社会的にどのように・どのくらいgoodなのか)をどう測定していくかは、まだまだこれから。
西武信金さんの事例とかも、かなり手探りな感じ。例えば、「幸福度」を金額に換算するのに、支店メンバーに「どんな時に幸福を感じるか」を具体的に出してもらい、それぞれを金額に換算して平均値をとるような。海外旅行や家を購入するといった人から、入浴剤を入れたお風呂に入るような事例までばらつきがある中一元的に金額に換算するのはまだまだ難しい。どう換算するか=「財務プロトコル」というらしい。ふむふむ。
・いずれにしても可視化できなかったSocial goodsを客観的に「整理」「可視化」してわかりやすく伝えることが今後求められる。
逆に、これができれば企業として残っていく。資金調達力という側面だけでなく、ステークホルダーの共感を得て事業を推進するツールになる。
◆では、自分にできることは。
草の根的なSocial goodな人たちに、ソーシャルリターン・エコノミックリターンを容易に可視化できる仕組みを提供すること。また、それを意識した運営のサポートをすること。
自分自身がプレイヤーになるよりも、今はそういう人たちを支える立場の方がしっくりくる感じ。
可能なら、ソーシャルリターンの測定方法を確立するところに携われたらいいなあ・・・とも。どうやったらできるんだろうなー。うーん。
◆その他
セッションの中で話題に出た「RESAS」は面白いと思う。
内閣府と経産省が提供する地域経済分析システムで、地域ごとの自治体を比較できるもの。
自治体比較マップとか相当面白いし、これがきっとKPIになっていくんだろう。(って話してる人も言ってた)